南海トラフ地震が起きたら救助はすぐ来る?
2026/09/11
大きな災害が起きたら、
「消防が来てくれる」
「警察が助けてくれる」
「自衛隊が来てくれる」
そんなふうに考える方も多いと思います。
もちろん、実際に大規模な災害が起きれば、自衛隊や消防、警察などが全国から応援に入ることになります。
ただ、南海トラフ巨大地震について調べていると、少し気になることがありました。
「助けに来てもらえるまでに、かなり時間がかかる場所が出てくるのではないか」ということです。
南海トラフ地震は、静岡県から九州にかけて、とても広い範囲が被災する可能性があります。
そこに、大津波や同時多発する火災、道路の寸断、停電や通信障害、港湾や空港の機能停止などが重なる。
そうなると、そもそも救助する側が被災地までたどり着けないケースも考えられます。
つまり「公助だけを待っていては間に合わない」という前提で、国や自治体も防災を考えているんですね。
いったい、どれくらいの規模になるのか?
南海トラフ地震の被害想定を見ると、死者や負傷者、避難者がそれぞれ数十万~数百万人規模になるとされています。
これだけの人数が一度に被災するとなると、当然ながら、自衛隊・消防・警察・DMAT(災害医療チーム)などが全力で動いたとしても、すべての場所へすぐに救助に向かうことは難しいでしょう。
特に気になるのが、よく言われる「発災後72時間」です。
倒壊した建物からの救助や、けがをした人の手当て、搬送など、時間との勝負になる場面がたくさんあります。
ところが、その救助に向かうための道路が津波で使えなくなっていたり、橋が崩れていたり、燃料が不足していたり、通信が途絶えていたり……さらに、ヘリが使えてもどこでも着陸できるわけではありません。
「助ける人が足りない」というだけでなく、「助けに行くこと自体が難しい」という状況も想定しておかなければならないわけです。
■徳島はどうなる?
徳島に住んでいる私たちにとっては、ここが特に気になるところです。
徳島は海岸線が長く、南海トラフ地震では津波の影響も大きいとされています。
山間部も多く、場所によっては道路が寸断される可能性もあります。
さらに、夜間に地震が起きれば、暗い中での避難になるため、昼間よりも動きにくくなることも考えられます。
そう考えると、徳島では「まず自分たちで安全なところまで逃げる」ということが、とても重要になってきます。
これは決して「救助隊は助けてくれない」という冷たい話ではありません。
むしろ、救助隊が来るまでの時間を、自分たちで生き延びる必要があるということです。
■自衛隊は来てくれる。でも、行く場所が多すぎる
もちろん、大規模災害になれば自衛隊も全力で動くことになります。
艦艇やヘリ、輸送機などを使った人員・物資の輸送。
給水車や野外炊具、仮設風呂、衛生部隊など、さまざまな支援が行われます。
ただ、南海トラフ地震で難しいのは、やはり「同時にあまりにも広い範囲が被災する可能性がある」というところです。
例えば、東日本大震災では東北地方を中心に広い範囲が被災しました。
南海トラフ地震では、さらに東海から近畿、四国、九州まで、太平洋側の広い地域が同時に被災する可能性があります。
そこには人口の多い都市もあれば、工業地帯や港湾、発電施設などもあります。
当然、救助や支援が必要になる場所も一気に増えます。
「助けに来てくれる人がいない」のではなく、「助けを必要とする場所が多すぎる」ということなんですね。
■だからこそ自助と共助
こう考えていくと、なぜ防災で「自助」「共助」が繰り返し言われているのかが、少し分かる気がします。
自分で逃げる。
家族で助け合う。
近所の人同士で声を掛け合う。
会社にいるなら、会社単位で初動対応をする。
救助隊が到着するまでの時間を、地域や身近な人たちでつないでいく。
これが、南海トラフのような超広域災害では特に重要になってきます。
例えば会社であれば、発電機や水、簡易トイレなどの備蓄。
必要に応じて建設機械を使える体制や、通信手段、社員の安否確認。
そして、「津波が来たらどこへ逃げるのか」といったルールを、あらかじめ決めておく。
こうした準備があれば、災害が起きた直後に、自分たちだけでなく周りの人を助ける側に回れる可能性もあります。
■最初に人を助けるのは、意外と近くにいる人かもしれない
過去の大きな災害でも、発災直後に人を助けたのは、必ずしも専門の救助隊だけではありません。
近所の人だったり、地元の建設業者だったり、漁師さんだったり、消防団だったり。
その地域に普段からいる人たちが、身近な人を助ける場面はたくさんありました。
考えてみれば、これは当然なのかもしれません。
大きな災害が起きた直後、遠くから来る救助隊よりも、その場所にいる人のほうが先に動ける場合があるからです。
そう考えると、地域の建設業者や防災に関わる企業が普段から備えておく意味も、かなり大きいのではないでしょうか。
■「助けを待つ」だけではなく、「最初の72時間を支える」
今回、南海トラフ地震と救助について調べてみて感じたのは、
「災害が起きたら、誰かが助けに来てくれる」だけではなく、その前の時間をどうするかがとても大事なんだなということです。
無水トイレ、津波への備え、BCP、備蓄、地域防災、会社の初動体制。
こうした防災対策は、一見するとそれぞれ別の話に見えます。
でも、その先にあるのは「救助や支援がすぐに届かない時間を、どうやって乗り切るか」という共通した問題なのかもしれません。
救助隊が来るまでの間、自分たちの命を守る。そして、余裕があれば、近くにいる人を助ける。
南海トラフ地震のような大規模災害では、そんな「地域で最初の72時間を支える力」が、これまで以上に必要になってくるのではないでしょうか。
もし大阪・梅田で震度6~7の地震に遭遇したら?
2026/09/09
地震が起きたとき、まず思い浮かべるのは「建物は大丈夫かな?」「津波は来ないかな?」ということだと思います。
しかし、同じ地震でも、起きる場所によって危険な事はかなり違うようです。
例えば、大阪の梅田。
梅田は超高層ビルや地下街、駅、百貨店などが密集していて、普段からたくさんの人が行き交っています。
南海トラフ地震のような大きな地震が起きた場合、建物の倒壊だけでなく、人が一斉に動くことによる混乱や帰宅困難、火災、情報不足なども大きな問題になりそうです。
徳島にいるときとは少し違った考え方が必要なのかもしれません。
では、もし実際に梅田で震度6~7クラスの地震に遭遇したら、どうなるのでしょうか?
まず、最初の1分。
●慌てて外へ出ない
建物の中にいた場合、まず気になるのが落下物です。
梅田のような場所では、天井材や照明、ガラス、商品棚など、地震で落ちたり倒れたりするものがたくさんあります。
大きな揺れが来ると、つい「外へ逃げなきゃ」と思ってしまいますが、揺れている最中に外へ飛び出すのは、かえって危険な場合があります。
テーブルの下に入ったり、柱の近くなどで身を守ったり、窓やガラスから離れたり。
まずは自分の身を守ることを優先して、揺れが収まるのを待ちましょう。
では、地下街にいたら?
梅田には、ホワイティうめだやディアモール大阪、地下鉄の駅など、大きな地下空間が広がっています。
「地下で大地震が起きたら、地上に出たほうがいいのでは?」と思ってしまいますが、必ずしもそうとは限りません。
揺れている最中に出口や階段へ人が殺到すると、転倒したり、押し合いになったりする危険もあります。
まずはその場で揺れから身を守り、揺れが収まってから周りの状況や施設からの案内を確認しましょう。
火災や浸水など、別の危険が迫っている場合は話が変わりますが、「地震が来たから、とにかく出口へ」という動きが必ずしも安全とは限らないようです。
では、駅にいた場合はどうでしょうか。
大阪駅や大阪梅田駅の周辺は、普段からかなりの人が利用しています。
地震のときにまず気をつけたいのは、『ホームから転落しないこと』です。
大きな揺れで立っているのも難しくなることがありますので、柱などにつかまりながら身を守り、駅員さんの案内を待つことになります。
そして、大きな地震が起きれば、電車が止まることも十分に考えられます。
「早く駅から出なきゃ」と焦って動くより、まずはその場の状況を見て判断するほうがよさそうです。
揺れが収まったからといって『すぐ帰らないこと』
ここが、都会での地震で特に考えておきたいところです。
地震が収まったら、「とにかく家に帰らないと」と思ってしまいますよね。
でも、南海トラフ地震クラスの地震なら、電車やバスが止まり、高速道路も規制される可能性があります。
梅田のような場所では、そこにいるたくさんの人が一斉に動き出すことになります。
駅も道路も人でいっぱい。そうなると、移動すること自体が危険になることもあります。
災害時には「一斉帰宅を抑える」という考え方がありますが、これを知っているだけでも少し違うかもしれません。
「家に帰る」よりも、「今いる場所で安全に過ごす」ことを先に考える。
これが、都会で大きな地震に遭ったときには重要になりそうです。
●例えば、徳島から大阪へ日帰り出張していたら?
もし徳島から大阪へ日帰りで出張していて、その日に大きな地震が起きたら…
「どうにか徳島まで帰らないと」と思うかもしれません。
けれど、交通機関が止まってしまえば、帰りたくても帰れません。
そう考えると、最初から「家まで帰る」ことを目標にするのではなく、まずは梅田で安全に過ごせるようにするという考え方も必要です。
よく「72時間」という言葉を聞きますが、都会へ出かけるときも最低限のものを持っているだけで安心感が違います。
●小さなバッグに入れておきたいもの
大きな防災リュックを持って大阪へ行くのは、なかなか現実的ではないですよね。
小さなショルダーバッグなどに、モバイルバッテリー、水500ml、携帯トイレ2~3回分、飴や羊羹などの簡単な食べ物、小型のLEDライト、常備薬、現金1万円程度くらいなら普段から入れておけそうです。
特にスマートフォンは家族との連絡だけでなく、災害情報を確認するためにも欠かせません。
「スマホの充電がない!」というのは、災害時にはかなり困りそうなので、モバイルバッテリーは持っておきたいところです。
●梅田ならではの「高層ビル」の問題
梅田といえば、やはり高層ビルも多いですよね。
南海トラフ地震のような大規模な地震では、長周期地震動によって、高層ビルがゆっくりと大きく揺れることがあります。
地上ではそれほど大きく感じなくても、高層階では長い時間揺れが続くことも…
高い階にいるときは、窓から離れ、家具などの転倒・移動にも注意が必要です。
そして、もうひとつ気になるのがエレベーターです。
大きな地震の後にはエレベーターが停止し、閉じ込められる可能性があります。
揺れが収まったからといって「じゃあエレベーターで下に降りよう」とは、なかなかいきません。
●津波はどうなの?
梅田は海沿いではないので、徳島の沿岸部などと比べると地震直後に津波から逃げるという状況は少し違います。ただ、「梅田だから津波は絶対に大丈夫」と考えてしまうのもよくありません。
南海トラフ地震では、大阪府内でも津波による浸水が想定されている地域があります。
そのため、今いる場所がどのような地域なのかハザードマップなどで一度見ておくと安心です。
梅田のような大都会では、それに加えて、帰宅困難者が大量に発生することや、通信・交通が止まることも考えておく必要があります。
●梅田では「逃げる」より、まず「止まる」
今回調べてみて感じたのは、同じ地震でも場所が変わると防災の考え方もかなり変わるんだなということです。
徳島の沿岸部なら、強い揺れを感じたら津波を警戒して高い場所へ逃げる。
一方、梅田のような大都市では、
①まず身を守る
②周囲の状況や情報を確認する
③無理に帰宅しない
④安全な場所で待機する
という順番が大切になりそうです。
そして、梅田で特に怖いのは、地震そのものだけではなく、地震の後にたくさんの人が一斉に動き出すことによる混乱なのかもしれません。
周りの人がみんな動き始めると、自分も「早く行かなきゃ」と焦ってしまいます。
でも、そんなときこそ一呼吸です。
「今、動くことが本当に安全なのか?」と考えてみる。
地震は、徳島にいるときに起こるとは限りません。
大阪へ出張したとき、旅行で都会へ行ったとき。
普段とは違う場所で大きな地震に遭ったらどうするか。
今回の記事をきっかけに、そんなことも一度考えてみてもらえたらと思います。
線状降水帯が発生するかもしれないとき、事前にできること
2026/09/03
前回は、突然の線状降水帯に襲われて道路が冠水してしまった場合に「どう行動すればいいのか」ということについて書きました。
今回はその続きとして、線状降水帯が発生するかもしれないと分かった段階で、私たちにできる準備について考えてみたいと思います。
線状降水帯というと「ものすごく雨が降る」というイメージがあるかもしれません。
もちろん、それも間違いではありません。
ただ、怖いのは雨そのものだけではなく、短い時間に大量の雨が降ることで、洪水や土砂災害、道路や住宅の浸水など、さまざまな災害が一度に起こる可能性があるということです。
だからこそ「雨が降ってから考える」のではなく、「雨がひどくなる前に準備しておく」ことが大切になってきます。
では、実際に線状降水帯が発生する可能性が高いと分かったら、何をしておけばいいのでしょうか。
●発生する可能性が分かったら、まずは情報を確認する
線状降水帯が発生する可能性があると分かったら、まず確認したいのが自分の住んでいる地域の状況です。
気象庁の最新情報を確認するのはもちろんですが、普段からハザードマップを見ておくと、いざというときにも判断しやすくなります。
例えば、
「自宅は浸水する可能性がある場所なのか?」「近くに川や用水路はないか?」「土砂災害警戒区域に入っていないか?」「避難するなら、どこへ行けばいいのか?」
こうしたことを、雨が降る前に一度確認しておくことが大切です。
避難所の場所も、実際に地図で確認しておくと安心ですね。
「避難所は知っているけど、そこまでどうやって行くんだろう?」というところまで考えておくと、より具体的な備えになります。
●車も雨が降る前に移動しておく
意外と忘れがちなのが車の置き場所です。
大雨が降り始めてから、「車を移動させたほうがいいかな?」と考えても、その頃には道路の状況が悪くなっている可能性があります。
地下駐車場や河川の近く、周囲より低くなっている場所など、浸水の可能性があるところに車を置いている場合は、雨がひどくなる前に安全な場所へ移動できないか考えておくと、いざという時に安全です。
もちろん、移動すること自体が危険になりそうな場合は無理に外へ出ないことも大切です。
「雨が強くなる前に動かしておく」
これだけでも、できることのひとつですね(*^-^*)
●家の周りも雨が降る前にチェック
大雨のときは、普段は気にならない家の周りのものが思わぬトラブルにつながることがあります。
雨どいや側溝に落ち葉やゴミがたまっていないか。
ベランダや庭に、風で飛ばされそうなものが置いていないか。
こうしたところを、雨が降る前に一度確認しておくことをおすすめします。
雨どいや側溝が詰まっていると雨水がうまく流れず、思わぬところに水がたまることもあります。
また、風が強くなることも考えて植木鉢や物干しなど、飛ばされそうなものは片付けておきます。
シャッターがある場合は、早めに閉めておくのもひとつです。
●断水や停電にも備えておく
大雨によって、停電や断水が起こる可能性もあります。
そこで、まだ水道や電気が使えるうちに準備しておきたいものがあります。
例えば、お風呂に水をためておくこと。
飲み水とは別に、トイレなどの生活用水として使えるようにしておくと安心です。
スマートフォンやモバイルバッテリーも充電しておきましょう。
スマートフォンは、災害時の情報収集や家族との連絡に必要になります。
スマートフォンだけでなく、モバイルバッテリー、懐中電灯、乾電池なども一緒に確認しておくといいですね。
「充電しておけばよかった……」となる前に、早めに準備しておきたいところです。
●食料は「雨が降っても外へ出なくていい」くらいに
大雨の中、買い物に出かけるのは危険です。
線状降水帯の発生が予想されているときは、食料や飲料水なども早めに準備しておきましょう。
備蓄の目安としては最低3日分、できれば7日分程度を考えておくと安心です。
特別な防災食をすべてそろえる必要はありません。
普段食べているレトルト食品や缶詰、インスタント食品など、家族が食べ慣れているものを少し多めに置いておく方法でも十分です。
そして、停電に備えて冷凍庫の保冷剤を凍らせておくのも、ちょっとした準備になります。
●雨が強くなってきたら「まだ大丈夫」をやめる
ここからは、前回の記事とも少しつながってきます。
線状降水帯が発生して雨が強くなってきたら、「まだ大丈夫」と様子を見続けないこと。
特に自宅が浸水想定区域や土砂災害警戒区域にある場合は、早めの避難を考えることが大切です。
●避難するときは、道路が冠水したり視界が悪くなったりする前に動く。
夜になってからの避難は周囲の状況が見えにくくなるため、できるだけ明るいうちに安全な場所へ移動できるよう、早めに判断しておきたいですね。
前回の記事でも書きましたが、道路が冠水してからでは、安全に移動できないことがあります。
だからこそ、「危なくなってから逃げる」のではなく、『危なくなる前に逃げる』ことが大切になってきます。
●マンションの場合はどうする?
マンションなどの集合住宅に住んでいる場合は、建物の階数や周囲の状況によっても判断が変わります。
浸水の危険がある場合には、上の階へ移動することで安全を確保できるケースもあります。
ただし、土砂災害の危険がある場所では、単純に「上の階に行けば大丈夫」とは限りません。
自分の住んでいる場所が、どのような災害の危険がある地域なのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
●「逃げる基準」を家族や会社で決めておく
防災について考えていると、「結局、いつ避難すればいいんだろう?」というところで迷ってしまうことがありますよね。
だからこそ、普段から家族や会社などで「この状況になったら避難する」という基準を決めておくのもひとつの方法です。
例えば、大雨特別警報や土砂災害警戒情報、河川の水位など、自分たちの地域で特に注意すべき情報を確認しておきます。
自治体から避難情報が出た場合も、どのタイミングで行動するのかを家族で話し合っておくと、いざというときに迷いにくくなります。
災害が起きてから、「どうする?」「まだ逃げなくても大丈夫じゃない?」と話し合うのではなく、普段のうちに決めておく。
意外とこういう準備が大切なのかもしれません。
●会社でも少しだけ考えておきたいこと
これは家庭だけではなく、会社でも同じです。
大雨が予想されるときには「社員は無事なのか?」「出社してもらうのか?」「今日は営業をどうするのか?」といった判断が必要になります。
例えば、会社のLINEなどを使って社員の安否を確認する方法を決めておいたり、家族を含めた避難状況を確認できるようにしておくのもひとつです。
また、パソコンや重要な機器をできるだけ高い場所へ移したり、社用車を浸水の可能性が低い場所へ移動したりするなど会社の設備についても事前に確認しておきたいところです。
「災害が起きたら会社をどうするか」ということも、企業にとっては大切な防災対策ですね。
●一番大切なのは「早めに判断する」こと
線状降水帯による大雨では、短い時間のうちに状況が大きく変わることがあります。
「もう少し様子を見よう」
「まだ避難しなくても大丈夫だろう」
そう思っているうちに、道路が冠水して外へ出られなくなることもあります。
だからこそ、「避難しようかな」と思ったときには、すでに避難の準備を始める。
それくらいの気持ちで早めに行動することが大切なのではないでしょうか。
もちろん、実際の避難は地域の状況によって変わります。
だからこそ、普段からハザードマップを確認して自宅や会社の周りにどんな危険があるのかを知っておく。
そして、「もし今夜、線状降水帯が来るとしたら、自分はどうする?」と、一度考えてみる。
それだけでも、いざというときの行動は変わってくるかもしれません。
線状降水帯は、いつ、どこで発生するかを完全に予測することはできません。
だからこそ、特別なことをするのではなく、できる準備を少しずつ積み重ねておく。
「危険になってから逃げる」のではなく、「危険になる前に備える・逃げる」。
これが、線状降水帯から身を守るために、私たちができる大切な準備なのだと思います。
明日は我が身
2026/08/31
天気予報では、特に大雨の予報は出ていなかったのに、突然、線状降水帯に覆われてしまう。
辺り一帯が見えないくらいの大雨が降り、気がつけば道路も一気に冠水している……
そんな状況になったら、私たちはどう対応すればいいのでしょうか?
これは決して大げさな想定ではありません。
気象庁も、線状降水帯は事前の呼びかけがなくても発生し、災害につながるような大雨になることがあるとしています。
2026年5月からは、線状降水帯の発生をより早く知らせる「直前予測」も始まりましたが、それでも自然現象を完全に予測することは難しいものです。
だからこそ今回は、「もし、数十分のうちに突然の豪雨に襲われ、道路まで冠水してしまったら?」という状況を想定して、どう行動すればよいのかを考えてみました。
まず覚えておきたいのは、「遠くへ逃げない。近くの高いところへ」ということです。
すでに道路が冠水し始めている場合、指定避難所まで何百メートル、何キロと移動することが、かえって危険になることがあります。気象庁も、避難場所への移動が危険な状況では、無理に移動せず、浸水しにくい高い場所などで身の安全を確保するよう呼びかけています。
では、実際にどのような状況になったら、どう動けばいいのでしょうか?
【建物の中にいる場合】
自宅や会社などの建物の中にいる場合は、まずできるだけ高い場所へ移動することを考えます。
頑丈な2階建て以上の建物であれば、2階・3階など、浸水しにくい上の階へ移動。
そのとき、スマートフォンやモバイルバッテリー、靴、飲料水、常備薬など、必要最低限のものだけを持って移動しましょう。「念のため、あれもこれも……」と取りに戻っているうちに、外の状況がさらに悪化する可能性があります。
また、川や崖に近い部屋はできるだけ避けるようにします。
地下にいる場合は特に注意が必要です。
地下駐車場や地下街などにいる場合は、まだ移動できるうちに地上階へ上がることを最優先にしましょう。
【外にいる場合】
外にいるときに突然激しい雨が降ってきたら、無理に遠くまで移動しようとせず、近くにある頑丈な建物へ避難することを考えます。
例えば、コンビニやスーパー、ホテル、マンション、公共施設などです。
ポイントは、近くにある高い建物。
すでに道路が冠水している状態で、「避難所まであと100mだから……」と歩いて向かうのは危険です。
冠水した道路は、普段見えているものが見えなくなっています。
濁った水の中では側溝や用水路、マンホール、段差などが分からなくなってしまいます。
「これくらいの水なら歩けそう」と思ってしまうかもしれませんが、水の流れがある場所では足を取られる危険もあります。大雨のときは、できるだけ水の中に入らないことを心がけたいですね。
『車を運転している場合は特に注意』
突然の大雨で、特に気をつけたいのが車を運転している場合です。
「車なら、そのまま安全な場所まで行けるのでは?」と思ってしまいますが、冠水が始まっている道路では、車も危険な状態になることがあります。
道路に水がたまっているのを見つけたら、無理に進まず、可能であれば安全な場所へ引き返すことを考えましょう。
特に注意したいのが、アンダーパス・川沿いの道路・堤防道路周囲より低くなっている場所などです。
全国には約3,700か所のアンダーパスがあります。
普段は何ともない場所でも、短時間に大量の雨が降ると排水が追いつかず、急激に水がたまることがあります。
「前の車が通っているから大丈夫」「これくらいなら行けそう」という判断はしないようにしたいところです。
さらに怖いのが、すでに車の周囲まで水が集まってきている場合です。
水位が上がると、エンジンが止まってしまったり、水圧によってドアが開かなくなったりすることがあります。
そのため、「エンジンが止まるまで車の中にいれば大丈夫」と考えないことが大切です。
安全に車から出られる状況であれば、早めに車を離れて、近くの高い場所へ移動します。
もし車が水没し始めてドアが開かなくなった場合には、窓が開くうちに開けて脱出します。
それも難しい場合に備えて、車の中に脱出用ハンマーを備えておくのもひとつの方法です。
せっかく用意していても、いざというときに取り出せなければ意味がありません。
車の中で手の届く場所に置いておくことも大切ですね。
『逆に「やってはいけないこと」は?』
突然の大雨に遭遇すると、「何とかしないと」と焦ってしまうと思います。
そんなときこそ、次のような行動は避けたいところです。
「避難所まで行かなくちゃ」と、冠水した道路へ出る。
「このくらいなら大丈夫」と、車で水の中へ入っていく。
川や用水路の様子を見に行く。
地下や周囲より低い場所にとどまる。
そして、もうひとつ気をつけたいのが、「警報や避難指示が出るまで待つ」ということです。
大雨は、短時間で状況が大きく変わることがあります。
気象庁も、自治体から避難情報がまだ出ていない場合でも、急激に状況が悪化することがあるため、危険を感じた場合は自ら安全な場所へ移動するよう呼びかけています。
「まだ避難情報が出ていないから大丈夫」ではなく、「危ないかもしれない」と思ったら、早めに動く。
これも大切な防災のひとつだと思います。
『「明日は我が身」と考えてみる』
2026年8月26日には、国土交通省・内閣府・警察庁・消防庁が、8月に発生した千葉県の大雨などを踏まえ、大雨特別警報が発表された場合に取るべき行動や、車を運転しているときの注意点について改めてまとめています。
突然の大雨によって道路が冠水し、車が危険な状態になる。
こうしたことは、決して遠い場所で起きている出来事ではありません。
日本国内のどこで線状降水帯が発生するのか、私たちには分かりません。
だからこそ、ニュースで大雨や冠水の映像を見たときに、「大変だな……」だけで終わらせず、
「もし明日、自分の住んでいる地域で起きたら?」と、一度考えてみることも大切なのではないでしょうか。
自宅の近くに高い建物はあるか。
会社から避難するなら、どこへ向かえばいいか。
車で移動しているときなら、どこで安全を確保できるか。
普段のうちに少し考えておくだけでも、いざというときの行動は変わってくるかもしれません。
自然災害は、こちらの準備が整うのを待ってくれるわけではありません。
だからこそ、物理的な備えだけでなく、「もし起きたら、自分はどう動く?」という心の準備もしておきたいですね。
ニュースで流れている大雨は、決して「遠い場所の出来事」ではありません。
「明日は我が身」
そう考えて、できることから少しずつ備えておきたいと思います。
令和8年熊本地震から考える「地震の後」の備え
2026/08/28
2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、熊本県では最大震度7を観測しました。
気象庁は今回の一連の地震活動を「令和8年熊本地震」と命名しています。
2016年の熊本地震から10年──。
「一度大きな地震を経験した地域だから、もう大丈夫なのでは?」
そんな考えが、決して通用するものではないことを改めて感じさせられる地震となりました。
まだ復旧や検証が続いている段階なので、今回の地震について最終的なことを言える状況ではありません。
それでも、現時点で見えてきていることの中に、私たちがこれからの防災を考えるうえで、とても大切なヒントがあるように感じます。
それは、「地震に耐えるだけでは、防災は終わらない」ということです。
家が倒れないようにすることはもちろん大切。
でも、その後に水が出なくなったら?
トイレが使えなくなったら?
電気が止まったら?
道路が通れなくなったら?
仕事を続けられなくなったら?
地震の「その後」をどう乗り切るのか──そこまで考えておくことが、これからの防災には必要なのかもしれません。
■「一度大地震を経験したから大丈夫」ではない
今回の地震を見ていて、まず感じたのがこのことです。
2016年の熊本地震からわずか10年で熊本県は再び震度7の地震に見舞われました。
今回の地震は、2016年の地震とは異なる場所を含む活動で、活断層による地震は「一度動いたから、もうしばらくは大丈夫」と単純に考えられるものではありません。
これは、私たちが暮らす四国でも他人事ではないと思います。
南海トラフ地震についても、「いつ起こるか」を正確に予測することはできません。
だからこそ、「まだ起きていないから大丈夫」ではなく、「いつ起きてもおかしくないものとして備える」という考え方が大切なんですね。
揺れが収まったら、災害も終わり……ではありません。
大きな地震が起きると、揺れが収まった瞬間に「ひとまず助かった」と思ってしまうかもしれません。
でも、そこからが避難生活の始まりになることもあります。
今回の熊本地震でも、本震の後に強い地震が続いています。
気象庁の観測でも、7月28日のM7.1の地震の後、同日中に震度5弱を観測する地震などが発生しています。
地震後の建物やブロック塀、崖などは、見た目では分からない危険を抱えている可能性があります。
「揺れが止まったから、家の中を確認しに戻ろう」
「壊れたところを自分で見に行こう」
とすることが、かえって危険につながることも……
だからこそ、避難計画は「地震が起きた瞬間」だけではなく、その後の数日間をどう過ごすかまで考えておく必要があるのだと感じました。
■水と同じくらい考えておきたい「トイレ」
今回、特に気になったのが「トイレ」の問題です。
災害時の備蓄というと、まず水や食料を思い浮かべますよね。もちろんどちらも欠かせません。
でも、断水すると同時に困るのがトイレです。
8月15日午後2時時点でも、熊本県内では約2万6,450戸で断水が続いていたと報じられています。
猛暑が続く中で水を自由に使えない状況は、衛生面だけでなく、脱水や熱中症のリスクにもつながります。
だから個人的には、「水・食料・トイレ」ではなく、「水・トイレ・食料」くらいの気持ちで準備しておいてもいいのでは?と思いました。
そして、トイレは「簡易トイレを買っておけば終わり」ではありません。
使った後の排せつ物をどう保管するのか。どう回収するのか。どこで処理するのか。
そこまで考えて、初めて「使い続けられる備え」になります。
■避難所にいる人だけが「避難者」ではない
今回の地震では、発災翌日に県内432か所の避難所に8,886人が避難していました。
ただ、避難所に入らず、自宅や車の中などで避難生活を送る人もいます。
実際、8月15日時点でも80か所の避難所に3,205人が残っていたと報じられています。
「避難所にいる人=避難している人」ではないんですね。
自宅にいる人、車中泊をしている人、高齢の方、障がいのある方、ペットと一緒に避難している方……
それぞれに必要な支援は違います。
これからの防災では、単に「避難所を用意する」だけでなく、地域全体で、どこにどんな人が避難しているのかを把握し、必要な支援を届けられる仕組みも必要になってくるのではないでしょうか。
■備蓄は「ある」だけではなく「届く」ことも大切
災害が起きたとき、道路が無事とは限りません。
道路が寸断されてしまえば、倉庫に水や食料がたくさんあったとしても、必要としている場所まで運ぶことができません。
つまり、「備蓄している」=「使える」ではない
ということです。
家庭でも企業でも、一か所にすべてをまとめて備蓄するだけではなく、可能な範囲で分散しておく。
そして、いざというときに使える輸送ルートや、燃料、配送を担当する人などについても考えておく。
少し大がかりに感じますが、企業の防災を考えるうえでは、こうした「物を届けるところまで」の準備も大切になってきそうです。
■家や会社は「壊れない」だけで十分?
今回の熊本地震では、8月15日時点で住家被害が3万894棟に達し、そのうち全壊が1,283棟と報告されています。
もちろん、建物そのものの耐震性を高めることは、命を守るためにとても重要です。
──が、ただ、これからはもう一歩進んで、
「建物が大きく壊れなかった後、そこで生活や仕事を続けられるか?」という視点も必要なのではないでしょうか?
例えば、家具の転倒を防ぐ。
停電に備えて非常用電源を用意する。
断水しても使えるトイレを準備する。
水や食料を備蓄する。
会社なら、事業を止めないための代替拠点や連絡手段を考えておく。
こうした一つひとつをつなげて考えることで、「その場で生活を続けられる家」や「事業を続けられる会社」に近づいていくのだと思います。
■熊本地震から、これからの防災を考える
今回の熊本地震を見ていて、私が一番強く感じたのは、「備えていたか」だけではなく、「止まっても暮らし続けられるか」ということでした。
地震そのものを止めることはできません。停電や断水を完全になくすこともできません。
道路が通れなくなることもあります。
だからこそ、「もし止まったら、どうする?」を一つずつ考えておく。
それが、これからの防災なのかもしれません。
そして、このことを南海トラフ地震に置き換えて考えてみると、私たちの暮らす四国でも、決して他人事ではありません。
今回の熊本地震をきっかけに、「耐震」だけではなく、「その後も暮らし続けるための備え」について、私たちも改めて考えてみたいと思います。
これからの防災を考えるうえでは、耐震・トイレ・分散備蓄・電源・物流・BCP……
こうしたものを別々に考えるのではなく、一つの「災害後も暮らしや仕事を続けるための備え」としてつなげていくことが、大切になってくるのではないでしょうか。